サンゴ礁学 Coral Reef Science - English
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研究内容: 公募研究 (23〜24年度採択)

23年度〜24年度に採択された公募研究題目(3件)

 
<公募研究1>
研究代表者
奥山英登志 (北海道大学地球環境科学研究院)
研究課題名
サンゴの白化耐性における長鎖多価不飽和脂肪酸含有脂質の膜遮蔽効果

サンゴの白化は、サンゴから共生藻である褐虫藻、またはその色素が失われる現象です。白化の主な原因として海水温の上昇や、強光などのいわゆる環境ストレスが考えられています。これらの環境ストレスは、サンゴという共生生物の中で、活性酸素(ROS)の生成を引起こし、ROSはサンゴ自身と褐虫藻のタンパク質、核酸、脂質などの生体物質を酸化し、ダメージを与えると予想されます。多価不飽和脂肪酸は多数の二重結合をもつため、特に酸化されやすい生体物質です。本研究では、この酸化されやすい多価不飽和脂肪酸、特にサンゴと褐虫藻に広く分布しているドコサヘキサエン酸などの長鎖多価不飽和脂肪酸が、ROSによる酸化から生体物質を守り、ひいてはサンゴを白化から守っているのではないか、という仮説を検証します。この仮説は私たちが細菌細胞で見出した長鎖多価不飽和脂肪酸をもつ細胞膜がROSの拡散を防ぐ効果(膜遮蔽効果)を基にしています。


<公募研究2>
研究代表者
栗原晴子 (琉球大学亜熱帯島嶼科学超域研究推進機構)
研究課題名
地球規模でのストレス(温暖化/酸性化)がサンゴ礁生物群集に及ぼす影響の解明

世界の全サンゴ礁域の70% がその存続が危ぶまれています。その主な原因として、沿岸の開発や漁業などの地域レベルでのストレスに加えて、近年地球レベルで急速に進行しつつある温暖化や酸性化などの気候変動によるストレスが大きく起因していると考えられています。本研究では、特に酸性化および温暖化に焦点をあて、これら環境変動がサンゴ礁生物群集に及ぼす複合影響の解明を目的とします。具体的には、サンゴ礁域の海洋環境:海水温、pH、pCO2、塩分、DO、クロロフィルなどを計画研究C01との連携を取りながら長期連続測定を行います。さらに計画研究A01および計画研究C01と共に、温暖化/酸性化環境が、サンゴ礁生態系の要となる生物種(サンゴ類、海藻類、棘皮動物類等)に対して及ぼす生理/生態学的影響および、生物間相互作用への影響を室内/野外実験により解明を目指します。


<公募研究3>
研究代表者
関谷直也 (東洋大学社会学部)
研究課題名
人とサンゴ礁の共生・共存系構築のためのパブリック・リレーションズ戦略の策定

サンゴ礁を保全し、人とサンゴ礁が共生する社会を構築するためには、科学的知見をサンゴ礁に関わりのあるステークスホルダー(地元住民、地元自治体、政府、企業、NGO、観光産業、観光客)に受け入れてもらえるため戦略が必要です。本研究では、「パブリック・リレーションズ」の技法を援用し、サンゴ礁保全・共生のための社会を構築するためのステークスホルダー間同士の関係性構築のための戦略を策定します。具体的には、1.現在ステークスホルダー間においてどのような問題点があり、2.どのようなメッセージを投げかけ、どのようなコミュニケーションをとるべきなのかを明らかにし、3.実際に「サンゴ礁学」の研究実践を通じて行われるコミュニケーション・デザインについて考察し、4.それを評価するというプロセスを経て、サンゴ礁の保全、共生社会構築に係るパブリック・リレーションズ戦略の策定を試みます。


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